2009年6月14日日曜日

天才ギタリスト、ロリー・ギャラガーの命日でした。


 TASTEのデビュー・アルバム '69


 出世作72年の『LIVE IN EUROPE 』


 91年の最後の来日時のポスター


 6月14日はアイルランドの生んだ天才ギタリスト、ロリー・ギャラガーの命日でした。

彼が突然この世を去ったのは今から14年前の1995年の今日のこと。この年の1月、オランダ・ツアー中に倒れて、そのまま闘病生活。長い間の飲酒やストレスなどによる肝硬変ということで、病状は重く、肝臓の移植以外に助かる可能性はなかったみたいで、その手術中に合併症を起こし、帰らぬ人となりました。享年47才、あまりにも早過ぎる死でした。

 ぼくが彼を初めて知ったのは、彼がイギリスでTASTEというバンドでデビューした時。あれは、いつも通っていた渋谷の道玄坂にあるヤマハのレコード売り場でレコードを試聴させてもらいながらお店に置いてあるアメリカの音楽業界誌のビルボードを何気なくめくっていた時のこと。新譜紹介の欄に、派手なオレンジ色のバックに黒で大きく人の顔のような写真がドカンとデザインされているものがあり、その異様な雰囲気に興味を抱き、慣れない英語を解読してみると、どうやら、イギリスからの新人バンドのデビュー・アルバムらしく、第二のクリームとの呼び声も高い、期待の新星というふれこみでした。
 1969年、ぼくが予備校生の頃でした。

 以来、ぼくにとってそのバンドとそこのリーダーでリード・ギタリスト&ボーカルのロリー・ギャラガーの名前は生涯忘れることの出来ないものとなったんです。

 彼については、今までにも多くの記事やレコードの解説もしてきたし、実際に会ってインタビューしたり、楽屋まで呼んでもらったりもしました。彼は、ぼくが会った多くのミュージシャンの中でも、滅多にいないくらいの「ナイスガイ」でした。温厚で優しくて礼儀に篤く、イギリスでは人気者だったはずなのに、そういうスター気取りの感じはまるでなく、こちらが恐縮してしまうくらい、人当たりのいい好人物でした。それは、ステージの上でも同じで、海外で初めて見た73年の初渡英の「レディング・フェス」で見た時も、見事な熱演ぶりに感動したし、翌74年1月に初来日した時には、会っていんタビューもしたんですが、その時のステージも、彼のそういう人柄がにじみ出た、素晴らしいものでした。

 塗装のはげ落ちた愛用のストラトに、チェックのランバージャック・シャツ、色のあせたジーンズにスニーカーというスタイルがまたよく似合っていました。そして、一番感銘を受けたのは、曲の始めに紹介して必ず「I Hope You Like It」という言葉でしめてくれたこと。
まぁ、MCなら普通かもですが、「気に入ってくれたらいいな」なんて言葉、彼が言うからこそ、よけいに心に響いたように思います。

 好きなアルバムはいろいろあるけれど、思い出深いという意味で、やっぱり72年のライブ・アルバム『LIVE IN EUROPE』ですかね。実際、一番売れた作品でもあります。でも、売れた、売れないとか正直どうでもいいんです。そりゃ、彼らにしたら、セールスがよくないとクビになる恐れがあるし、暮らしも大変です。でも、そういうことに、あんまり頓着しないのが彼らしいし、イメージだけでなく、事実、パンクの後とかのニューウェーブやニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘビーメタルの時期には、彼のブルースを基盤としたロックンロールは時代遅れとみなされ、メジャーからの契約は切られました。
彼自身も、そういう時代の状況にはあえて逆らわず、もちろん流されもせず、ひたすら自分のやるべきことをやっていました。つまり、ライブ活動をキチンとやって、自身でレーベルを立ち上げたんです。

 そして91年にチッタなどで久々の来日コンサートを行い、多くの日本のファンを喜ばせてくれました。でも、残念ながらぼくはコレを見てないんですから・・・。セーソクとかはちゃんと見て来たみたいでした。後悔先に立たず、とはまさにこのこと。今度来たら行こうと決めていたら、飛び込んで来たのは実にバッドなニュース。彼が亡くなった、というものでした。それが、95年の6月14日のことでした。ちゃんと確認したのはその少し後だったかもしれませんが、とにかく、ショックでした。大げさでなくジョン・レノンが亡くなった時以上の衝撃だったと自分では思っています。ジョー・ストラマーの時と同じくらいかもです。


 彼の人柄もですが、ギタープレイがまた異常に素晴らしくて、「1にロリー、2にロリー、3、4がなくて5にスタン」なんてうそぶいていた頃もあったくらいですから。つまり、エリック・クラプトンやジェフ・ベック、ジミー・ペイジのあの頃の人気ギタリスト御三家より気に入っていたということですね。ちなみに、「スタン」とはCHICKEN SHACKのスタン・ウェッブです。彼を見るためにチョークファームのラウンドハウスという今はないハコまで足を運んだくらいです。

 ロリーの作品(CD、DVDなど)は今でも簡単に入手可能です。この機会に是非一度聴いてみてください。エレキだけじゃなくて、マンドリンなどのアコースティックな楽器の名手でもありました。

珍しいTASTE時代のライブです!

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