2009年12月4日金曜日
祝 ULYSSES創刊!!
久々の素晴らしい音楽雑誌と言える「ULYSSES」。装丁から文章、写真、全部がブリリアント!そのもの
昔の雑誌にはよくあった付録がついています。ジミヘンやブライアン・オーガー、さらにはライザ・ミネリにコニー・フランシスなどの懐かしいモノクロの写真のPOSTCARD.
デヴェンドラ・バンハートのメジャーからのデヴュー盤で6枚目新作「What Will We Be 」ワーナー WPCR-13705
実に素晴らしい音楽本というか音楽雑誌が先月創刊された。
この「不況」の闇夜に一筋の光明のような、ぼくらの行く手を小さな、しかし、はっきりと照らし出すような存在としての音楽本が11月半ばに刊行された。そのタイトルは「ULYSSES」。音楽雑誌のタイトルとはとても思えない。古代ギリシャ神話の英雄ユリシーズを冠した本なんて、あるとしたら、いわゆる文芸本の類い、アートな感覚のものくらいだろう。
しかし、それはある意味事実でもある。この本は、音楽、それも洋楽を主たる題材とした、まぁ、普通に言えば「ロック雑誌」である。しかし、そんじょそこらの音楽雑誌とは無関係なくらいの隔たりがある。ストーンズじゃないが、「百万光年の彼方」くらいだ。
この本はかつて「MUSIC LIFE」で日本中の洋楽ファンを喜ばせ、いろいろなことを教えてくれた出版社、シンコー・ミュージックから出されている。シンコーには今も「CROSSBEAT」なるロック雑誌があり、系列のバーン・コーポからは相変わらず「BURRN!」が出ている。ほかにも多くの単行本も。実はこの本も形式的には「別冊クロスビート」とサブタイトルされている。定期刊行されるようだが、月刊というのではない。
この「ULYSSES」の凄さは、一口に言うと、こだわり、である。なんのこだわりなのか?それはここで言うことではないと思う。みなさんが実際に手に取って感じ取ってもらいたいのだ。
ただ、言えるのは、こういう感覚の音楽雑誌は、もう何年もなかった。いや、音楽本に限らず、学術図書関係やハードカバーの文芸書などを含め、このようなセンスと感触の本はぼくは随分見たことがなかった。もちろん、「MUSIC LIFE」とも違うし、「ROCKIN' ON」とも違う。ごく初期のまだページ数も少なかった頃の「NEW MUSIC MAGAZINE」にわずかな面影を見いだすくらいか。
マニアックなファンジンのようでもあるが、こだわり、という点ではそういう見方も出来る。でも、この微細で完璧なまでの文学的、芸術的な論理性とリリシズムはファンジンには普通見られない。
それもこれも、ひとえにこの本の首謀者で執筆から取材、アートディレクションまでトータルに行っている河添剛さんの存在ゆえだろう。河添さんとは近年知り合った(彼は大昔からぼくのことを知っていたらしいようだ)のだけど、会ってビックリ、話をしてさらに仰天、という人だった。繊細なアーティストであり、同時に大胆な戦術家のような感じの人とでもいうのか。とにかく、剛直でありながら柔和で細やかな人だ。
記念すべきこの創刊号の表紙は、最近とみに話題のシンガー/ソングライター、ヒューストン生まれのベネズエラ育ちの異能の若者、デヴェンドラ・バンハートだのどアップ写真。OASISでもAEROSMITHでもなく、まだ一般には未知の素材の若者を選んだのだ。そこのところからも、つまり、この本は「一般」とか「大衆」とかというセールスの上でこれまで重要と思われていたポイントを無視していることに気づくのだ。そう、普通とかみんなとか、そういう曖昧なメジャー概念になんの意味もないことを、この本は示している。常識なんてクソくらえ!なのだ。そんな過激さも、穏やかに潜めている。
さて、あとはみなさんが書店でこれを探して購入するだけ。ぼくの出番はここまで。でも、きっとよくも悪くも「なんじゃ、こりゃ?!」という思いが心に波紋を投じることは間違いないはず。で、HOPE YOU LIKE IT!
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